本展の展覧会タイトル「(Nai)night raid」は、日本語で襲撃のない夜を意味する。
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夜ほど,ヒステリックと平穏を共存させるものはない。夕食を囲み一家団欒の時を過ごす、労働後のアルコールで理性を飛ばし幸福感に浸る。その外側の薄暗い影の中で悪を企み罪を働く者や、内側の狂気を露出して攻撃する者がいる。そのある種の熱狂が、深夜3時頃には平穏を取り戻し、人々は深い眠りにつく。夜の明暗はコントラストが強い。そして不安定である。
美術に関わる私たちにとって、夜は特別な存在である。社会の機微に敏感な、不安定な心情が夜の特性に類似するからだろうか。分からないが、作品制作や展覧会企画、熱量のこもった芸術談議は必ずと言って深夜に行われてきた。確かに言えるのは「夜」は、私たちを本質的な姿に変貌させてくれるということである。